【院長の小さい頃】 二人で新幹線に乗った。こいつ、わかってるか?って話
トランキ~~~~~ロ、あっせんなよ!!どうもジムチョーです。
僕と院長は兄弟でして。
僕が幼稚園の年長で、兄が小学2年生だったかな。
東京駅から新幹線に乗って、名古屋まで行く。
今の家はみやこ(おかん)の実家なんです。
新幹線だけ二人で行く。
名古屋駅ではおばあちゃんが待ってる。
ちょっとした冒険をさせるというのが、当時は大人へのステップとして多くの家庭で行われていました。
それをいよいよ我々がやると。
それぞれのリュックに「コアラのマーチ」ティッシュとハンカチ。
そして水筒にお茶を入れてもらって。
携帯電話のない時代ですからね。
連絡手段はない。
みやこが「名古屋で降りるんだよ、名・古・屋ね。
そこで降りなかったら、地獄に行くからね。」と鬼の形相で言う。
新幹線ってそんな恐ろしいものなん????
そんな恐ろしいものに二人で乗るん??
「いい?地獄に行きたくなかったら。寝たらダメ。
新幹線に乗ったら、まずは席の近い人で名古屋で降りる人を探して。
僕たち名古屋で降りるから、降りるときに声をかけてくださいって言うんだよ。」とみやこが言うのだが。
おかしい。
おかしいんだ!!!!
なんで僕の肩を持ちながら言うんだ。
どう考えても横のやつだろ!!
って横を見ると。
あくびしてる。
お~~~。
なるほど~~~。
これはこれは
こんなやつは頼りにならん!!
これと二人か~~~。
今すぐにでも中止にした方がいいではなかろうか。
一抹の不安じゃない、莫大な不安を抱えた。
席までみやこが案内。
「いいね名古屋だからね。」
と言って降りていく。
脈が速くなる。
窓越しに「地獄に行くぞ」と口パクで言っているみやことバイバイ。
そして、僕は席の近くの人で名古屋に行く人を探す。
3つ後くらいの席だった気がする。
そこに座っていた若い夫婦が名古屋に行くとのこと。
声かけてくださいとお願いをすると
「わかったよ、降りる時に声かけるね。」と笑顔で言ってくれて。
ふ~~~って席に戻ると。
兄が口開いて寝てる!!!!
しかも空箱になったコアラのマーチを手に持って。
もう食うてしまったん?
食うたら眠たくなったんか!!
なんや、お茶もちょっと飲んだ跡があるし。
何を満喫しとんねん!!
乗って10分くらいやで!!!!!
降りなかったら、地獄に行くねんで!!!
僕は寝たら地獄だと思うと寝れるわけもなく。
まばたきもしてないんちゃうかな。
兄が寝たまんま、名古屋まで10分とアナウンス。
まだ寝てる。
「ねぇ、名古屋だよ。起きないと地獄だよ。」とゆすって起こすが。
ゆすったリズムで体がグネグネなる。
全然、起きる気配ない。
思いっきりつねると。
チッ!!って舌打ちをしながら起きる兄。
地獄に行くのを助けてあげたのに、なんじゃ!!
若い夫婦が迎えに来てくれて、一緒に名古屋で降りる。
降りたら、おばあちゃんが迎えてくれて一安心。
寝起きで不機嫌な兄。
極度の緊張から解放された僕。
駅できしめんをお昼ご飯で食べる。
僕は極度の緊張で食べることはできず。
横から元気一杯すする音。
まさかと思い、見ると兄がきしめんを食うてる。
なんで食えるん?なんで食えるん?
おばあちゃんは車で名古屋駅まで来ていたので、それに乗る。
乗ってすぐに、僕の肩に激痛。
いった、なんやねんと横見ると。
腹いっぱいになった兄が車に乗った瞬間寝てる。
首をグリングリンさせながら口開いて寝てる。
寝て、首グリングリンなって。その頭が僕の肩に当たったんです。
兄の頭は三角形のように、横がとんがってて。
めちゃくちゃ痛い。石黒家では、ハンマーズヘッドの裕一郎と言われています。
なんでこんな目に遭うねん。
後からわかることですが、兄は極度に乗り物酔いがひどく。
そのため気を失って寝てしまうそうです。
だからかな、クリニックでキャスター付きのイスに座ると寝てしまいます。
そんなことは知らないから。
おやつ食うて寝て。
起こしたら舌打ちして。
昼飯食うたら寝て。
ほんで頭突きするて。
なんやねん、こいつ。
地獄に行ったらよかったのにって思っていました。
地獄に行かなくてすんだお礼なのか。
今は楽しい仕事をさせてもらってます。
兄はこの日のことを覚えていません。
なぜなら、寝ていたから。